アンティーク（推定19世紀中期） ”神女王ヘーラー”

縦：約52mm横：約43mm作者：－（アンティーク）QR：アーティスティッククオリティ
久しぶりのアンティークカメオ、ギリシャ神話における神々の女王ヘーラーを描いた作品の入荷です。
ゼウスの妻であり絶大な力を持つ女神ヘーラー。類まれな美貌を持ちながらもその苛烈ともいえるエピソードの多さから半ば恐ろし気なイメージが先行している気がしますが、カメオの世界においては古来大変人気の高い神の一人でした。デザインはシンプルな傾向にあり、ギリシャ式の冠を戴くのみでその他の装飾は入らないケースが多く、今回の作品もまさに典型的なヘーラー像といえるもの。後述しますように今回少々経年の摩耗等見られるものの、彫りに関しては質にこだわりをもつ当ギャラリーの入荷品とあって確かなものを選別してまいりました。ディテールもややナレてしまっていながら、残された部分や造形の美しさを見るに元は一流の彫刻師の作であったことは疑いないもの。アンティークのカメオ特有の正確な肉付きから生まれる微細な陰影も美しく、の現代のカメオにはない古式豊かな雰囲気をよく纏った逸品となっております。
貝はカフェオレ色の地にくっきりした白色層の乗ったサルドニクス。ただ、貝の質自体はやや落ちるもので、腕のいい彫刻師の工房のセカンドモデルというか、上級オーダーではない作品だったのだろうと思います。状態は経年のスレやナレがみられ、ヘアラインは上部に広く、さらに圧力的なストレスによる内部損耗が裏面7時位置から8時位置にみられるなど、状態が良いとはいいがたいです。とはいえ割れたりするような状態ではなく、先述の通り古風な雰囲気と彫りの良さはまだまだ楽しめる作品となっております。